Lecture in 杭州

矯正歯科医の賀久です。7月27日−29日に中国の杭州に行って参りました。以前にも、このブログで触れたことがありますが、私はアメリカのインディアナに本社のある矯正器材メーカーのTP Orthodontics社のコンサルタントをさせて頂いています。この出張はこちらのTP社と多く取引のある杭州にある杭州口腔医院という大きなオフィスでの講演が目的でした。

出張先の中国は、私の亡くなった父の祖国という事もあり、特別な気持ちを抱きながらも、昨今の必ずしも友好的とはいえない両国の関係から少し緊張と不安を抱きながらの講演でしたが、ドクターの皆さんもとても熱心に聞いて頂きました。今振り返ってみると、非常に忙しい予定の中に無理に入れた講演のスケジュールでしたが、行って良かったと思えることが幾つもありました。私は、父の出身である香港以外の中国に行くのは初めてでした。というのは、父は僕達家族に『今の中国を見たらがっかりする。』と口癖の様に言って、いつか発展した中国を子供達に見せたいと生前思っていたことからでした。

今日の中国の医療の現場は、多くの日本人にはまだまだと一般的にはとらえられていると思いますが、院内の雰囲気や臨床での内容を見学すると、そんなに引けを取っているとは思いませんでした。また、私が今まで仕事で訪れた他の国に比べ、ドクターが若いのと、この分野の歴史が浅いこともあって、変に頭が固くなくまさに勢いがあるという雰囲気がしました。この講演は、この病院のドクターが聴講するとの事でしたが50−60人程の矯正歯科医が集まっており、日本やアメリカの歯科大学の矯正歯科講座の医局より全然大人数でビックリ致しました。


また、女性が約半分で女性の社会進出も相当進んでいる事も垣間みました。今ようやく、日本の歯学部も男女比が半々位になっていることを考えると、中国の変化の早さには驚きます。講演は朝10時よりお昼を挟み5時まで行ったのですが、英語の講演を中国語に逐次通訳をするスタイルとなり自分が話したかった内容を全てお伝えすることは出来ませんでした。しかし、多くのスライドで内容をカバーし、受講された先生方には喜んで頂くことができました。そして、来年にその続きの講演をさせて頂くことになり、こうやって人の絆は繋がっていくのだなーと実感しました。また、翌日はその講演を聞きに来てくれた先生が教授を務める、浙江大学医学院付属口腔医院という日本でいうところの大学病院に招かれ、空港に向かうタクシーを止め見学に行って来ました。国境を超えて共通の興味を持つドクターが1つの目標に向かって取り組む姿勢は、この中国で行われるオリンピックのスローガンである"One World One Dream"にも共通する事ではないかと感じました。父の祖国の矯正歯科の発展に貢献出来る喜びを感じながら、このプロジェクトに関わってくれた全ての人々に感謝しつつ今後の活動のエネルギーにしていきたいと思います。